このレビューはネタバレを含みます
人間は遺伝子で
余生が全てわかってしまう時代。
優秀な遺伝が優遇され、
遺伝子で全てが決まってしまう。
そしてそれに従う人々。
私は病になり、何歳で死ぬ。
そして努力という言葉は消える。
だが、主人公ビンセントは違う、
自分は適正者ではないと自覚しながら
その現実に抗う。
そして努力を怠らず、
宇宙に行きたいという夢が原動力となる。
優秀な遺伝子を持ったとされる者でも
自分の出来に落胆する。
そして、自ら、その能力を捨ててしまう。
ただ、遺伝子は消えない。
その遺伝子を提供する側となり、
ジェロームの精一杯を残す。
ビンセントではなく、
ジェロームとして生きていく。
そして、それを成し遂げる。
もちろんジェロームのおかげもあって。
遺伝子では考えられなかったようなことを
努力で巻き返す。
周囲も気付かないほど、当たり前の遺伝子だと思われがちだけど、それは最大限の努力の結晶。
そんなジェロームは、ビンセントの助けになりながらも、こんな自分ながらも素晴らしい生き方ができたんだと感じているのではなかっただろうか。そして、ジェロームはもう彼のものだと、そして自身の全てを彼に託したかったのではないかと思う。
そして遺伝子なんかなくたって、これからビンセントは1人で生きていけるとも思ってしまった。そんな気がしました。
ジェロームの最期は、きっと、
できなかった自分さえも抱きしめながら、
認めながら彼と共に宇宙に旅立った気がします。
遺伝子操作までは行ってなくとも、
現実にも同じことがあると思う。
自分にはできないと思い込み、
あの人が良いと羨む。
自分自身にコンプレックスを抱き、
こうだったらなぁと空想を抱く。
そんなことを感じる作品でした。
だいぶ昔に制作された映画ですが、
今観ても、とても面白いし、
展開もわかりやすいです。
無駄なものはなくシンプルな映画です。