Dio

ガタカのDioのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
3.8
遺伝子工学を専攻していた身としては本作は非常に身近に感じられるものだった。
遺伝子から疾患を調べるのも現実的に可能な領域だし、自分の遺伝情報をバイト感覚で売買していることも一部では既に行われています。流石に狂暴性などの性格的要因までは現実のものになってませんが…

僕としては冒頭の医師が諭すように「(避けられるののであれば)子供にハンデは要らない、個性は性格だけで十分です」は賛成である。人は運命を神聖視するけども、eggとspermが出会うだけの話だ。運命とは人が知覚し、認識して初めて存在するものであると僕は考える。

閑話休題。

遺伝子により将来的なステータスを予め把握できるようになった近未来。「不適合者」であるヴィンセントが「適合者」のみしか辿り着けない「夢」を叶えるため、自身の可能性を信じぬく物語。味付けは殺人事件です。

まず始めに、めちゃくちゃ面白かったです!
「人が決めた運命など、自分の可能性を信じることが出来れば乗り越えられる」というシンプルながらも力強いメッセージ!
お前のやりたいことはなんだ!それに対して努力したって心から言えんのか!そう叱咤されてる気持ちになります。

そうして、恐らくもう1つの副次的なテーマ「彼らにそれほどの差はあるのか?」について。
これについては殺人事件を軸に掘り下げているように見受けられます。
不適合者であるだけで犯人と断定されるような世界であり、エリートだから犯人であるはずかないとされる世界。
しかしエリートだろうと非エリートだろうが自身の夢を叶えるためには手段を選ばない、そこに何の差があろうか?いやない。人間の根源は一元的であり、そこに差異はないことが殺人事件の結末により示唆されているように思います。
人を殺すことは勿論良くないことだけど、自身の夢を果すために、その使命感のために何でもすることが出来る人間には頭が下がります。

5th May 2016
Dio

Dio