アリスinムビチケ図鑑

ガタカのアリスinムビチケ図鑑のレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.0
U-NEXTで鑑賞。


肌の色でも国籍でも貧富の差でも無く、
遺伝子によって適正者・不適正者を分けられ、差別される

人の優劣、人生が、出生時(着床の時)の遺伝子操作による配合で決定付けられる近未来。

そんな中、遺伝子操作をされず、両親の愛の結晶として生まれたヴィンセント(イーサン・ホーク)は劣性の遺伝子を持つ不適正者。

適正者として生まれ育った弟と、
海でどちらが遠くまで泳げるかの競争も負けてばかりでした。
ある日ヴィンセントはついに弟よりも長く泳ぎ、溺れて沈みかけた彼を助け勝利します。

それがキッカケでヴィンセントは自分の幼い頃からの夢を叶える為、家を出ることにします。

ブローカーの紹介で、金メダル候補だった元水泳選手ジェローム(ジュード・ロウ)と出会います。

ジェロームは事故に遭い、車椅子生活を余儀なくされ、夢を断念した優秀な遺伝子を持つ適正者。
生活を支えて貰う代わりに自分の遺伝子(人格)をヴィンセントに譲る契約を結びます。

ヴィンセントは"ジェローム・ユージーン・モロー"として憧れの会社ガタカに入社し幼い頃からの夢だった宇宙パイロットとなる為、
適正者として第2の人生を歩み始めるのでした…。


優秀な遺伝子を持って生まれ、未来に沢山の可能性を持って生まれて来た弟。

同じく優秀な遺伝子を持ち、その才能を存分に発揮し、名声迄も思うがままにしていたが事故で全てを失い、夢を諦めかけていたジェローム。

短命で劣性な遺伝子を生まれ持つ不適正者だけど、夢を叶える為に必死に頑張り、
自分の可能性を諦めないヴィンセント。

この三者の人生や運命、そして其々の想いが、
まるで螺旋状に絡み合うDNAの構造の様にも思えました。

最初は契約として自分の遺伝子(人格)を共有していたジェロームが、
だんだんとヴィンセントに自分を重ね、まるで自分の夢を叶える様に寄り添って行く姿も感慨深い所だと思いました。


この映画のメッセージ性や、デティール等、書きたい事が多過ぎて、
何回も下書きを繰り返してみたけど纏まらない…それくらい奥が深くて面白い作品だと思いました。

映像的にも様々なコントラストで表現されていて、今観ても心を奪われる様な美しいカットがそこかしこに散らばっていて、
最後迄惹きつけられる映画です。

ラストシーンに想いを馳せて…。