エイコ

ガタカのエイコのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.0
昔観たけれど内容を忘れていたので再鑑賞。

傑作だった。
生まれた時から遺伝子でおおかたの人生が決まってしまう近未来。
優性思想。二極化された世界。
SFのはずなのにどこか既視感がある。

彼らの世界でのものさしは「遺伝子」だけど、それを「お金」とか「地位」とか「外見」とか、現代の人類が価値あるものと無意識に思っているものに置き換えたら、まるっきり現実そのものだった。完全にメタファー。その表現の仕方が見事。

とりわけ、この映画が創られた1997年より今のほうが映画の世界観に近づいているのが末恐ろしい…。

優良な遺伝子を持たなかった主人公は、能力はあるのに血のにじむような努力をしてようやく優良遺伝子の彼らと同じスタートラインに立てるって、どれだけ理不尽なことか。

今、親ガチャとか、単語としてはひどい言葉で騒がれているけれど、今の子供たちは昔よりもっと、理不尽さをひしひしと感じているのかもしれない。情報も多いしね。
映画で現実を突きつけられた時、いつも無力感を感じてしまうけれど、とりあえず選挙に行こう。

映像も美しく、無機質で静かな世界観がディストピア感をより一層際立たせていたと思う。
ジュード・ロウのラストに不満はあるけれど、総じて素晴らしい映画だった。
エイコ

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