遺伝子編集技術により生まれながらにして、生きる道がほぼ決まってしまう切なさ。
今の科学技術の未来の一つとして確実に考えられる道の一つ。
あらゆる可能性は廃され、努力も遺伝子の壁に阻まれる。
ただ、運命だけは誰にもコントロールができない。
主人公がすり替わった天才は、自分で頂点を手に入れることができず、事故に遭ってしまう。そこに現れた不屈の主人公:ヴィンセント。
彼はここではない何処かを目指して、宇宙に行きたいと考えていた。
そして遺伝子で作られた弟アントンは「今を維持する組織」に入る。
だが、結局主人公の欲しかったのは「居場所」だったのだ。
ラストシーン、入れ替わり元のジェロームは火に包まれ、手元にある銀メダルがヴィンセントが乗るロケットの火(夢)によって金色に輝く演出に鳥肌。
セックスシーンでは寄せては返す波のように、海が印象的に撮られるなど、比喩としてのカットのひとつひとつがとても美しい。
運命づけられたものもあるかもしれないが、奇跡を信じる人や見たい人のいる限り、希望はあり続ける。
派手なシーンはないが、素晴らしいSF映画。