きよぼん

ゴジラvsコングのきよぼんのレビュー・感想・評価

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
4.4
13歳の頃の自分が「これおもしれーじゃん!」と興奮し、今現在オタになったおっさんの自分は「いやこれは乗り切れないな」と一歩引いている。映画を見終わった後から、まさにゴジラとコングのように自分の中でこのふたつの気持ちが大バトルしている。

映画としての勢いは文句なし。前作から引き続いて地球空洞説にふれていく設定。巨大生物が地球上に存在する、今までどこにいたの?という理屈にそれを持ってきましたか。これだけでオカルトファン歓喜。この設定だけで自分的にはかなり点数アゲです。

お大人になったなあ、のミリー・ボビー・ブラウン演じるマディ。彼女が男友達を振り回し、さらにはネット放送してるオカルトオタとゴジラの謎の答えを探るとか最高すぎる展開。

そして熱すぎる怪獣バトル!「生物学的に腕は上がらないよねー」といううるさい人を張り手でKOする気持ち良さ優先バトル。どつきあい、取っ組み合い、怪獣同士の咆哮、ゴジラの口からの熱線VSコングの武器などなど。舞台もド派手に香港の市街地をぶっ壊す!ぶっ壊す!ぶっ壊す!NHKは壊れないのに、香港は粉々になる勢い。さらにコングの瞳による感情表現が素晴らしい!ゴジラが熱線を吐く瞬間の「あ、これヤベーな」という感じがたまらなく好き!

小栗旬ってセリザワって名前だけど、前作の人とのつながりの説明ありましたっけ?ていうかこの映画、ほとんど説明しない。潔い。というかめんどくさいことは全てすっ飛ばしました、という感じで一本筋が通った作り。

13歳の素直な心になれば、地球空洞説にワクワク。これからどんなすごい展開が待っているんだろう。マディたちの冒険にドキドキ。彼女はすごくいろんな経験をしたんだろうな。怪獣バトルは口あんぐり。みてるだけで感想は「すげー」しか出てこない。

一方、オタになったおっさんの感想は素直さがなくなってしまった。地球空洞説っていっても面白そうな要素を散りばめただけで、シリーズが続いてもまとめられないんだろうなあ、マディは活躍するけど人間ドラマは単純すぎる。バトルは派手さはあるけど、単調なんだよね・・・と、いろいろと文句が出てくる。

この映画、欠点はある。というか映画の完成度としてみれば欠点だらけだ。それでも13歳のころの自分が面白かったというのは「この先もっと広がっていくはずだ」という期待であり「この設定にはすごいことが隠れている」という行間を読む想像力だ。一方、今現在の自分が気になっているのは、「どうせこの程度のことしか出てこない」「劇中に出てこない設定があるわけじゃない。ただ単に雑なだけ」というこれまでの経験に照らしたあきらめだろう。

なんかねー老成しちゃたなオレ。なんでこんなに素直に楽しめなくなってんでしょうねー。余計こと考えすぎちゃうんでしょうねー。「おまえ映画好きだったはずじゃないか」という13歳のオレの勝利。うるさい大人にはお勧めできないが、13歳の頃に戻れるあなたに観て欲しい映画。

自分は明日3回目観てきます。
きよぼん

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