アキヒロ

ゴジラvsコングのアキヒロのレビュー・感想・評価

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
3.5
好き……だけど、惜しい部分が多々ある。
そもそもゴジラとコングの戦闘シーン自体が少ないし、
「地球空洞説」で地球内部の美しさ見せたい…みたいな直接対決と関係ないシーンに力を入れているところもなんか違う感。
あと、見せ場にならないような会話主体のシーン(しかも会話自体も表面的で面白くない)も多く、その辺は減点した。

初っぱな、登場したコングは
音楽が流れると、寝ぼけ眼をこすり、滝でシャワーを浴びて、尻をボリボリ掻く。
これは一般的アメリカ人男性の朝のルーティンではないか。
コングはすなわち、アメリカを象徴している化身である。

一方、ゴジラは世界で唯一の被曝国で生まれた「原爆の落とし子」。
つまりゴジラは被曝国・日本の化身であり、怒れる戦没者の化身がアメリカに復讐に行ったかのようにも見える。

ゴジラ対キングコングは、
そのまま日本vsアメリカの象徴でもあるように思う。

第二次世界大戦で日本はアメリカに負け、
1962年公開の『キングコング対ゴジラ』ではゴジラが負けた。
果たして約60年ぶりにリメイクされた本作は…
「ゴジラvsコング」はゴジラの勝ちと取っていいだろう。
でも、真の敵は「メカゴジラだった」というオチである。
そして、二匹は(アメリカと日本)は共闘し、みごと勝利を治めるのだ。
戦後、国交を開いて60年。
両国のあるべき姿を表したと言っていいだろう。

メカゴジラの登場にはアガったが、
登場してすぐ自分の威力を誇示するかのごとく口から主砲を…
だが、基地内で主砲吐くのはありえない。
そのせいで、ゴジラの熱線より威力が弱く見えてしまった。

気になったのが、
巨大生物(タイタン)たちは地球の中心にある空洞から海上を通じて迫り上がってきているという「地球空洞説」が採用されているが、これはジュール・ヴェルヌやクトゥルフ神話のモチーフが流用されており、
本来のゴジラの原爆実験によって生み出された生き物であるという成り立ちがやや薄れて、欧米ナイズドされている。

しかも、地下空間までにワームホールみたいなところを一回経由するの、なんでやねんってなる。
『地底探検』でも『神秘の島』でも『ザ・コア』でも『ストレンジワールド』でも『映画版ドラえもん』でもそんな描写なかったのに、あれで一気にSFからファンタジーになる。

さらにキングコングが地下で巨大なアックス(実はゴジラの背鰭)を拾って雄叫びを上げるシーンがあり、それを見て「これらの祖先がここに…」というセリフがあるが、
そのアックスは鉄製の刃物に柄の部分に結合されていた。
あれほどの道具を作れるのは霊長類の中でも類人猿というより、もはや人間(つまり"コング"というより"巨人")と言っていいレベルじゃないのか?と思ってしまう。
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