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アズミ・ハルコは行方不明のGumiのレビュー・感想・評価

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)
4.2
すごく好き。
1回目観たときはクソ男と惨めな女という印象が強かったが、再び観ると自分の恋愛観や性別観が変化していたこともありとても理解でき共感できた。素晴らしい内容だと思う。
そしてすごいのが、原作・脚本・監督がそれぞれ担当者が分けられているのにこの素晴らしい脚本を見事に映像化されている。時系列の行き来は原作からなのか?時系列に沿った映り込みやショットの行動の重ね合わせなど細かく考えられていて脚本として良かった。
照明も印象的で素敵だったのだが、やはり一番思ったのが役者陣の良さ。特に高畑充希は凄まじいな。あの馬鹿っぽさもめちゃうまいし、ダメな恋愛をして傷つく女の子の様がすごくリアルで良い。素晴らしいキャスティング。もちろん蒼井優も仲野大賀もすごく良かった。あと女子高生たちも怖さと輝きの表現がかなり良かったなと思う。
ラストシーンの映像はプロジェクター回してるのかな。凝ってて良い。

「どうでもよくないの。
このままだとね、愛菜が可哀想なの」

なんかこの台詞すごく好きで。
幸せになろうと頑張ってるのに自分が可哀想になってしまう。「男に愛されることが女の幸せ」とされるこの社会において、そういう苦しい恋愛をしてしまう女性はすくなくないと思っていて、この台詞の表現に共感した。
連続暴行女子高生グループは、やや過激ではあるがその生きづらい社会に対する女の反発の現れであり、本作はその波に影響され自立していく女性たちの話である。
やっぱりこの女性へのエールがこもった内容は素晴らしいし、それに劣らず芸術表現をこなした映像化面も素晴らしい。全ての女性に、そして男性にも観てもらいたい作品。
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