千年女優

アズミ・ハルコは行方不明の千年女優のレビュー・感想・評価

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)
3.5
女子高生集団によるオヤジ狩りが世間を騒がす日本の地方都市。アラサーの独身OLで、家族や職場の古い価値観に肩身の狭い想いをしながら密かに元同級生への愛を育む安曇春子。やがて行方不明となって肖像画がグラフィックアートで拡散される彼女の行方を、成人になったばかりのギャル木南愛菜の恋愛と共に描くサスペンスコメディです。

慶応大学在学時の演劇サークル所属をきっかけに劇団立ち上げて映画監督としても精力的に活動する松居大悟が、『あのこは貴族』らで知られる山内マリコの同名小説を映画化した作品で、蒼井優が奇しくも同じ放浪する女性を演じた『百万円と苦虫女』以来の単独主演を務めると東京国際映画祭コンペティション部門にノミネートされました。

鬱屈を抱えた地方女性の奮闘を主題とする山内マリコの原作と、青春を引きずった腐れ縁描写を得意とする松居大悟の作風がかっちりとかみ合います。平行展開する要素のどれもが「発散」傾向で「収束」に向かわないのは映画や物語として些か歪ですが、コラボレーションの相性の良さに適役の蒼井優と高畑充希が熱演で応えている一作です。
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