群青

キングスマン:ゴールデン・サークルの群青のレビュー・感想・評価

3.5
2018年劇場鑑賞1作目。
字幕。



マナーが(ガチャ)


作るんだ(ガチャ)


紳士を(ガチャ)


海外から遅れること4ヶ月。ようやっと紳士が人をぶち殺すあの衝撃的な花火映画の続編が日本に到着。
今度は人間ハンバーガーカントリーロードでした(なんのこっちゃ)


前作の何が良かったかと言うとアクションのキレ。
カメラアングルがボーンシリーズとは違う慌ただしさ。ボーンがハンディカムを使ったブレをアクションのリアリティとしていたが、このシリーズは挙動と同じようにカメラがスイングするのが特徴。
パンチをすればそれと同じようにカメラが動き相手の当たった部分がズームになる。時にスローを盛り込みケレン味を出しつつ、スマートにまとめ上げようとしている。正直、前作よりマシマシでもうグワングワン動いて若干今どうなっているんだっけ?と思考停止になってしまうが、それすらも気持ち良さに変換してしまうのが、監督マシュー・ヴォーンの手腕かと思われる。

007のオマージュも相変わらず。水中を進む車に、雪山の秘密基地などなどで007に胡散臭さを倍増させた感じ笑


敵役のジュリアン・ムーアは前作の方サミュエル・L・マザファカ・ジャクソンとはまた違ったサイコパス。彼女の笑みは実に怖くて笑わされた。

前作で死んだとされた、ハリーがなぜ生きていたかの説明もちゃんとされてて納得。と言うかガジェットがスタイリッシュ。ハリーを助けたあのジェルは本当に最先端な感じがしてワクワクした。


あと、これは前作のレビューでは書かなかったけど、劇伴が素晴らしい。キングスマンのテーマをちゃんと使いつつハラハラする時、盛り上がる時、勝ちが決まったと確信できる時、それぞれでかい音量でかかるのでキャッチ通り秒でアガった。


じゃあこれは名作だ!となるかと思いきやそうでもない。彼のカラーが今作は違和感として出てしまった。と、少なくとも俺はそう感じた。


彼の持ち味として、ギリギリで攻めてくる不謹慎さがある。人気になったきっかけであるキック・アスは、当時13歳だったクロエ・グレース・モレッツにナイフを持たせ、可愛らしいガールズロックに乗せて大殺戮のシーンを作った。
前作はいうまでもなくド派手な花火である。
人によってはキレッキレ、または不謹慎と感じるであろう。
今作であれば敵のジュリアン・ムーアが笑顔で行うアレである。年齢規制が前作より下がったのに、前作よりグロくてえげつない笑
彼女関連以外でも何かと人が縦にも横にも真っ二つになる。
監督は四肢を欠損させなければいけない義務感でもあるのだろうか?笑


あとは欠損どころではないキャラクターたちの切り捨て具合である。
なにせスパッといなくなる。思い入れがあろうがなかろうが展開上必要であれば容赦なく退場する。確かに続編が続いてキャラクターが生きていれば増え続けるのは当然。現在、隆盛を極めているヒーロー映画もキャラクター人数が飽和状態になっている。そのカウンターとして大切なものだけに絞る、という戦略なのかもしれない。
しかしそれを含めてもあんまりじゃないか、と思うのもまた実感としてある。

これがノイズになってしまって、どうにも素直に楽しめきれない。俺がお子ちゃまなんだろうか。


他にもある。
敵の行動が微妙。前作の敵は市民が喜んで進んでやっていることが実は罠だった、という用意周到さがあった。しかし今作の敵はわざわざこちら側に宣戦布告してくる。一応理由はあるにはあるが、それにしても頭が悪いように思える。もう少し暗躍できなかったのか。手の内がこちら側にバレているため、こちらに戦略というものが存在しない。要求を飲むか断って戦うかしかなかった。
そして、アメリカ大統領もなんだかバカ。まあ前作の大統領も花火になってしまったわけで、あの作品内の大統領はバカなのかもしれない笑
ああ、あとチャニング・テイタムの使い方が雑だと感じたのは俺だけ?笑


ということで、面白かったけど違和感があって、それが監督の持ち味でもあるから無視しようにも無視できなくて、手放しで最高!とは思えなかった。マナーが紳士を作るかぁ。監督は紳士なんかなぁ?笑
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