JunIwaoka

The KidsのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

The Kids(2015年製作の映画)
4.0
2015.10.26 @ 28th TIFF

秀作なポスターのアートワークのようにシンプルで美しく、また幼さにある儚さに胸が締め付けられる珠玉の作品。映画の出来が完璧なわけではないんだけど、純粋さにいつからか忘れてしまった気持ちを思い出して、こみ上げるものがある。台湾の人はこんなにもまっすぐに物事を見つめることができるんだろか。
若くして子供を身籠り結婚した未熟なカップルが、当人たちではどうしようも出来ない不遇によって心揺れ過ちをおかしてしまう。相手を必要として強く想うときに、出会ったときの惹かれあった過去がフラッシュバックされ、まるで台湾産の"ブルーバレンタイン"のようだと思ったら、Q&Aで監督自ら影響モロ受けましたと言っていた。
The Kidsというのは親である未熟な彼らのことで、社会的弱者であるために立ち行かなくなる虚しさを憂いながら、そのもどかしさまでも瑞々しく描いていてとても切なくなる。彼が切実に願ったことは特別なことではなくて、二人がただ一緒にいられることを思うと、追憶する日に吹いていた柔らかな風がまるで頬に感じられるような気がした。
JunIwaoka

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