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ケンとカズのarchのレビュー・感想・評価

ケンとカズ(2015年製作の映画)
3.3
『辰巳』の後に鑑賞すると若干物足りない感はあるが、2人のどうしようもない現実(つまりは金が必要だけど、稼ぐ能力も環境も真っ当には手に入らない現実)に揉まれ、窮地に立たされる姿を、緊張感を保ちながら最後まで描いていた。
仲良い訳でもないが、仲悪い訳でもない。ケツを軽く蹴って着いてこいと仕草する、いつも車で隣の2人。
そういう関係性が上手く描けていた。

他にもいいショットや演出はあって、薬を吸わずに捨てたシーンに睨まれるシーンとかラストとかはお気に入り。ただ薬関連で、ヤバい状況に追い込まれている流れがテンポが良くない。ボスが基本的に良さそうな人間、そこから翻って実は全部バレていたのクライマックス直前の下りも、そのボスの演技力か演出かのせいでちょっと上手くいっていなかった。


1番はカズの母親の下り。環境の劣悪さだけでなく、今もその呪いを引きづっていて、母の性質を引き継いでいるのだと分かる、どん詰まり感MAXの描写、素晴らしかった。
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