町蔵

私の血に流れる血の町蔵のレビュー・感想・評価

私の血に流れる血(2015年製作の映画)
4.2
時は17世紀。ある教会で神父が自殺する。自殺は許されず、正式な埋葬が行われない。神父の弟は教会を訪れ、兄の死は魔女と取引をした尼にそそのかされた結果であることを証明しようとする。尼は拷問にかけられる。現代に時間は飛び、今や朽ちた教会をロシアの富豪が買取ろうと下見に来る。しかし内部には時間の流れを拒否するかのようにひっそりと住みついた老人がいた。バンパイアと噂される老人は、夜に外出して現代の街を観察する…。名匠ベロッキオ監督の出身地であるイタリア北部の町ボッビオを舞台に、時空を超えた物語が展開する。支配的なものへの批判という側面はあるものの、ふたつのエピソードを繋ぐ真の意味や理由の解釈は観客に委ねられている。世界を支配する「時間」という概念と戯れ、メタファーと謎と映画的刺激に富んだ、ベロッキオ監督の長いキャリアの中でも最大の問題作である。ベネチア映画祭国際批評家連盟賞受賞。
ベロッキオの作品群の中でも異色であり最高傑作であると思われる。前半だけであればまだ普通の映画であったが、後半の現代からまた昔に戻る時制の移動により激しく揺さぶられる。なぜカギを渡したのか、なぜカギを川に沈めたのか、なぜ川にはもう一つのカギがあったのか謎のままである。尼僧役の女優が素晴らしい。
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