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ハードコアのhasseのレビュー・感想・評価

ハードコア(2015年製作の映画)
2.5
演出3
演技3
脚本2
撮影3
照明2
音楽2
インスピレーション3

全編一人称視点ーーカメラ=主人公ヘンリーの視点で描かれるこの映画は、まさに目は口ほどに物を言うという言葉がピッタリだ。ヘンリーは瀕死状態を肉体改造されたサイボーグであり、発声機能を持たないため劇中セリフは一つもないが、彼の目=カメラの視点や微妙な揺れが言葉以上に明朗に、彼の心中を語っている。馬を思うように操れず落馬したときはヘンリーの悪態が聞こえてくるかのようだった。
彼はバッテリーで駆動するサイボーグであり、彼の視点はカメラである。ストーリーにおいてもジミーという協力者の指示にしたがって行動する。他者によって生かされ、動かされる受動的な彼が最後に、ティム・ロス演じる父親の言葉を回想し、自ら行動の選択をするシーンが印象的だ。

まるでゲームのような一人称映画というジャンルは今後、流行するのだろうか? 観客にとって受動的に享受できるアクション映像のみが売りならば、その可能性は低いだろう。観客が能動的に考えたり、行動できたりする体験を伴う作品であれば、その可能性はあるかもしれない。
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