このレビューはネタバレを含みます
とても丁寧に惜別を描いた良作でした。
大事な人の時計が止まってしまって…
でも、いつも通りに時は進む。
その狭間に迷い込むと…
哀しみに囚われてしまう。
誰かの優しさにさえ痛みを覚える。
世界で自分だけが苦しい。そんな錯覚。
もう居ないのに、探してしまう。
もう手に入らないのに、求めてしまう。
誰かの持つ欠片に、面影を探したりもする。
馬鹿げた行いに逃げてしまうこともある。
だって、しょうがないじゃないか…
自分の中にあるものには…
自分でしか、向き合えないんだから。
でも、進む日々に視野狭窄は解けて…
名残惜しいけど、世界は色を取り戻していく。
寡黙だけど、心に対して饒舌。
柔らかな余韻が、とても心地よい。
誰だって痛いのは嫌だけど…
いつか、その痛みを味わう時が来る。
泣き喚くのは…無様でも、可哀想でもない。
それができる人はきっと…
生きるのが上手なんだと思う。
本当は、無理して自分の心を邪魔してる方が…
壊れてて、愚かで、惨めなんだから。