カタパルトスープレックス

不滅の物語 オーソン・ウェルズのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

2.2
オーソン・ウェルズによるテレビ作品。『バベットの晩餐会』で有名な小説家イサク・ディーネセンの短編小説をベースとしています。正直にいえば、この作品のどこがいいのかよくわからなかった。

19世紀のマカオが舞台。裕福な商人クレイ(オーソン・ウェルズ)がある物語を金に任せて実現しようとする話。

オーソン・ウェルズは映画監督というよりも、映像作家だと思っています。それは『市民ケーン』(1941年)からそうでしたし、ヨーロッパに活動の場を移してからその傾向はさらに強まったと思います。映像作家としては本当に天才だと思います。照明や構図、モンタージュまで本当に素晴らしい。しかし、カラー作品である本作では、映像作家としてのマジックが失われています。もちろん、悪くはないんですよ。しかし、白黒ではS級作家だったのに、本作ではA級作家になってしまっています。

映画はテーマ、ストーリー、キャラクター造形が三本柱だとボクは考えています。ボクが重視するのはこの三つ。オーソン・ウェルズはこれが弱い。それは本作でも同様。テーマとしては何が言いたいのかよくわからない。ストーリーにも引き込まれない。商人クレイ(オーソン・ウェルズ)も怪物ではないし、ヴィルジニー(ジャンヌ・モロー)もそれほど魅力的ではない。

テレビ作品なので50分程度の中編ですが、非常に時間が経つのが長く感じました。