転生Moljiana

日本と原発 4年後の転生Moljianaのレビュー・感想・評価

日本と原発 4年後(2015年製作の映画)
4.1
350本目をどっちにしようかと悩んだので、同時投稿します。地元で1週間上映していたので視聴。イチエフ(福島第一原子力発電所)での事故を契機に、川内原発や大間原発の再稼動差し止め訴訟で弁護団の一人を務めた河合弘之さんが監督した今も続く原発の現実を辿ったドキュメンタリー映画。

まず開幕でこの映画は原発について知って貰う為、及び論評などに引用して貰う事を目的としています的な旨をテロップで説明した後に映画スタート。いきなり新宿の交差点が映し出されたかと思うと「2015年7月25日 東京都新宿区 放射線量:0.0319μSv/時」と「同日 福島県双馬郡浪江町 放射線量:5.1μSv/時」の字幕が表示、その後にタイトルといういきなりショッキングな演出。福島県って四六時中除染をやっているイメージがありましたが、まだこういう所も有るんですねー。
因みに福島県内だとやたら見られる現在の放射線量を表示する看板、あれって世界的にも珍しいと言われてビックリ。福島に行くととんでもない数有るのに。という事は、ニュース番組の天気予報で放射線量のお知らせとかも他の地方ではやらないって事?
そういう意味では福島の現状を一発で伝えるこのOPは見事ですねー

映画自体は兎に角情報量が多いですね。
「ATOMS FOR PEACE」の理念を掲げた、嘗ての原子力推進の歴史の紹介から2011年3月11日の東日本大震災での津波の影響で1号機と3号機が爆発、大量の放射性廃棄物が撒き散らされたあの事故の話にシフトしていく訳ですが、兎に角驚く事だらけ。
例えば、原発事故直後、半径20kmが避難区域になった所為で、行方不明者の捜索が全く出来なかったって話が本当に酷い。実際は立入禁止区域では無いので捜索自体は出来たそうですし、捜索が再開された時に発見された遺体は潮の影響なども有り、まあ酷い有り様だったそうです……。後は、原発事故発生時に東京電力側が原発作業員を全員避難させようとしていたエピソードはもう笑止千万ですよね。もうお前ら全員ゴジラに踏み潰されて死ね!!

その後は、電気を傘に電力会社が日本経済を掌握している「原子力ムラ」の存在、原発再稼動の危険性と新規制基準の曖昧さ、諸外国からのテロ行為の可能性などなどが語られますが流石に長くなってきたので詳しくは割愛。その中でも特に面白かったのは、所謂原発推進派の方々の主張を河合弘之監督が自らホワイトボードを用いて反証を示す下りですね。この辺とか流石弁護士だなと思えますし、説明が明確且つ分かり易いので複雑な問題なのにすんなりと頭に入って行きました。

劇中で元首相が登壇し、アニメーションが挿入される恐らく唯一無二のドキュメンタリー映画。個人的には大満足の出来でしたしこれを自主映画として素人の方が作るのは本当に凄い!!
内容やメッセージには賛否はありますが、原発に関して完全に無関係な存在では無い私には心に残る一作でした。
転生Moljiana

転生Moljiana