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きらめく拍手の音のKUBOのレビュー・感想・評価

きらめく拍手の音(2014年製作の映画)
3.0
今日は映画の友から招待券をいただいたので、久しぶりにポレポレ東中野へ。韓国のドキュメンタリー映画「きらめく拍手の音」を見てきました。

冒頭、きらきら星のお遊戯のような手の動きのアップで始まる。聾唖者の人たちの拍手は、手を叩いても聞こえないので、このようにやるのだという。印象的なオープニングだ。

監督は、父も母も聾唖者という家庭で育てられた。フィルムはその父と母の若い頃から始まるが、この2人が身障者とはとても思えない美男美女(この段階で偏見入ってたらごめんなさい)。特にお母さんの若い頃はアイドル級! そして大恋愛の末に結ばれた2人は子どもを授かる。

音の聞こえない2人には、子どもが泣く声すら聞こえない。子育てには相当な苦労があったことだろうが、本作ではことさら苦労は強調しない。同様に、成長期に子どもたちが、親が聾唖者だということで、いわれのない差別やイジメを受けたりしたこともサラッとは紹介されるが、このことも強調はされない。

上映後のQ&Aでその辺のところを監督のボラさんに聞いてみたが「苦労を強調するよりも、聾唖者でも健常者と同じように、幸せな家族を築くことができるのだということを知ってもらいたかった」からだと答えをもらった。確かにテーマの割に、爽やかで美しい印象でまとめられた映画だった。

また、舞台挨拶では、主演のお父さんサングクさんとお母さんギョンヒさんは韓国手話で挨拶し、それを日本手話に変える通訳さんがいて、それを日本語にする通訳さんがいて、監督で娘さんのボラさんの韓国語を日本語にする通訳さんもいるという、たいへん複雑な翻訳体制!

そして舞台挨拶終了時には、観客全員で作品冒頭で紹介されていた手話による拍手「きらめく拍手の音」で登壇された皆さんを送るという、ここまで含めて作品のエンディングのような素敵な空間でした。

本当は、監督のボラさんが、なぜ高校を中退してまで世界を旅して歩いたのか? また、どうして戻ってきてご両親のことを映画にしようと思ったのか? この作品では描かれていなかった、監督自身の心の中を描いた作品も見てみたい。
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