聾唖者をとりまく沈黙の世界とはどんな世界なんだろう。両親の日常を映し出すことでその世界が垣間見えるかもしれない。娘はそう考えてこの映画を作ったが、このご両親、全然沈黙してない(笑)とってもお喋りだし楽しそう。
手話は相手を見ないと絶対に成立しないコミュニケーションだ。当然スマホ見ながら生返事なんてこともできないので、夫婦はいつだってお互いを見てる。話しだす前、相手に気づかせるための「腕にトントン」が優しくていい。
聞こえない中での子育て、経済危機による失職のあと始めた屋台、苦労は人一倍あっただろうに、まるで笑い話のように語るふたりは本当にたくましい。
娘は誰よりも早く手話を覚えた。早く大人になる必要があった。
障害者のことはもちろん、障害者の両親を持った子どもたちの、逃れられない重圧も理解しなくてはならない。これは健常者として生まれた彼らがある意味自己を解放するために作った映画だと思う。