らんらん

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラードのらんらんのレビュー・感想・評価

4.5
ロバート・ロドリゲス、2003年。

エル・マリアッチ3部作を一気見、3作目。
※2作目の『デスペラード』(1995)は以前にレビュー済みなので追記のみで飛ばします。


本作の印象は余り変わらないかな。(1作目の『エル・マリアッチ』は爆上がりした)

この3部作が面白いのは、続編と言っても半分は以前の設定を踏襲し、半分は新しい物語なところ。
同じ世界観が繰り返され、少しずつゴージャスになって行く。そのズラし方に戸惑いつつも、パラレルワールドみたいで楽しい。

1作目と2作目では主演も変わっちゃったけど、ここはアントニオ・バンデラス、サルマ・ハエックが続投(ドリームワークス『長靴をはいた猫』のコンビ)。

ちなみに悪のラスボスはウィレム・デフォー。何の役でも良いから仲間に入りたいと申し出た、とどこかで読んだけど本当だろうか。ギャングのボスだから妥当な配役に。最後、顔面包帯ぐるぐる男になっちゃったのは、スケジュールの関係かとうがってしまう。
ミッキー・ローク、ジョニー・デップ、エヴァ・メンデスも参加して、予算も1作目に比べ約4000倍になってるのが凄い。

お約束のガンアクション(ギター・ガンアクション)にはやっぱり笑ってしまう。ニヤニヤ。
二丁拳銃にナイフ投げも健在。監督の従兄弟ダニー・トレホは今回は役が違うので投げません。

冒頭から魅せてくれる。
前2作もつかみが最高だった。
1作目は刑務所、後2作はマリアッチの噂話から始まる。前作はスティーブ・ブシェミの爪先から、本作では新顔ジョニー・デップにチーチ・マリンが聞かせるのだ、マリアッチの伝説を。

難点は、ストーリーがややこしいところ。登場人物も多いし、ちょっとまとまりに欠ける印象。

そもそもこの伝説にストーリーは要るのか、という事でもあるけど、その意味で1作目はシンプルで良かった。2作目からは俳優を出す為に複雑化したのかと思ってしまう。

前作では親友タランティーノが出演し、ちょっとした会話劇を披露する。
今作ではジョニー・デップが軽妙さを請け負う。上手くて目を引くので主役かと見紛うから、ストーリー的には更にややこしくなる(笑)
良い役だったけど、この泥臭い世界観に馴染んでいたかというと微妙なところ。洗練されすぎちゃって。デップだけ見てる分には楽しい。
(最終的に、他所者=デップがこの世界観に引きずり込まれるというストーリーではある)

洒落た会話や軽さにちょっとだけ欠ける、その泥臭さ、土臭さがこのシリーズの良いところだ。

少年とのやり取りやギター職人の村、死者の祭りなど、派手なアクション以外にも見所は沢山。

脚本・製作・音楽・撮影・編集とマルチに作り込むロドリゲス監督。
もしかしたらストーリーテリングはちょっと苦手、もしくは後回しなのかも。カメラは格好いい。編集も絵面も決まってる。

DVD特典に「ロバート・ロドリゲス監督の簡単料理教室」というのがあって、本作に出て来るメキシコの豚肉料理を手際良く指南してくれる。料理だって出来ちゃう。(メニューは三つらしいけど)

以上、少し長めの雑感でした。
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