桃

バジュランギおじさんと、小さな迷子の桃のネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

話題のボリウッド映画を準新作にて。
(インドでは2015年公開、日本では2019年1月公開。)

要素としては、
コメディから政治、宗教、ロマンス、諸々詰め込まれているのに、バランスよく計算して作り込まれている作品です。素晴らしいです。

物語の概要としては、
生まれつき声の出せないパキスタン人の少女が、母親と一緒にインドの寺院での治療に向かうが、はぐれてしまい、
"バジュランギおじさん"と出会って、2人で国境を越えて少女の家を目指す話。

今日でも対立関係が続く印パ間を移動し、さらには舞台もカシミール地方の山岳地帯。
真正面から両国・宗教の文化の違いも描きつつ、「憎しみではなく、愛を子ども達に教える」を芯としている。

子どもといえば、
ムン二及び、シャヒーダー役のハルシャーリー・マルトーホラちゃん。
あの愛くるしい笑顔は国境を越えて人々の心を掴む。見た目だけでなく、台詞なしの難役をこなす演技力も大人顔負け。

最後に、舞台であり、物語の中核である
カシミール地方の山脈が、冒頭もラストも、美しい。
研究によると、印パで核兵器が使用されれば、第二次世界大戦以上の犠牲者となる恐れがあり、更には黒いすすが大気に放出され、地球寒冷化等の影響も推定される。

この映画にはエンターテイメント以上の、痛切な祈りが込められているように思う。
桃