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チャタレイ夫人の恋人のaaaakikoのレビュー・感想・評価

チャタレイ夫人の恋人(1981年製作の映画)
3.7
昨年の一発めの投稿が『エマニエル夫人』だったはずなんで、シルヴィア・クリステルつながりで今年は本作を鑑賞しました。
この原作は多数映画化されているようですが、本作はラスト(の解釈)が違うみたいですね。

まずは英国貴族の古いお屋敷と、ずっともやがかかったような画面が美しい。
ストーリーの中心はもちろん、チャタレー夫人であるコニーと森番なのだけど、不思議な魅力があったのは夫のクリフォード。戦争で半身不随になり、妻の不倫をなかば認めるような発言もしてた彼だけど、彼には情けなさのようなものは感じられず、いつも不可解な笑みを浮かべていて、それが彼のあきらめや、または妻への愛なのか、または妻を見放しているのか、底が知れずおもしろかった。
でも彼は最後にコニーの名を呼んだが、やはり愛していたのだろうなあ。

一方で、森番のオリバー・メラーズはもう少し粗野な男のほうが良かったんだけど…というのも、このメラーズを演じたニコラス・クレイという俳優、昔NHKで放映していたジェレミー・ブレッド主演の『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズの「入院患者」の回で有能な精神科医トレヴェリアン先生の役をやっていたんだな。そのイメージがあるから、どうしても森番に見えなくて…(笑)
だけど彼は森番とはいえ、自分を卑下することなくコニーを愛したのだから、そういう点では合っていたかも。奥さんが単に身分違いの男に抱かれてよろめく話、ってわけじゃないですからね。

そしてやはりシルヴィア・クリステルは素晴らしかったです。よくよくみればずっと無表情なんですけど、それが何か最後の彼女の決意につながる気がした。彼女は決して、そもそも不倫などするような(できるような)女性ではなかったと思うんだけどな。
なのにそういう女が森番との性に溺れてしまうという、そういうのが「いやらしい」っていうことでしょう。
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