…惚れた女の前じゃ、死ねねぇよ。
横須賀…
組の資金源3億を強奪した矢崎文治。たった1人の家族である妹・沙織を残して逃げた文治を、兄弟分の松浦楯夫が追う。楯夫は傷ついた文治に追いついて何とか逃がそうと考えるが文治の願いを聞き、その胸に銃弾をぶち込んでしまう。
6年後。文治殺しの罪で刑務所に入っていた楯夫が横須賀に帰ってきた。沙織は文治の死後シャブ漬けになり、廃人となって病院に入院していた。退院直前、医師から「記憶を無くした彼女に幸せな思い出を用意してあげなさい」と言われ、昔の仲間を総動員して〈シェフになるためイタリア留学を目指すお嬢様〉というプロフィールを作り上げていく楯夫。しかし沙織は、身体に彫られたタトゥーから、自身に良からぬ過去があることに気づいていた…
「赤と黒の熱情」
工藤栄一&仙元誠三コンビのネオヤクザノワール。プレタイトルから雨・赤い傘・仙元ブルーという「野獣刑事」を彷彿とさせるバキッとした画作り。トオルちゃんが斃れるまではあまりヤクザ映画っぽくないんだけど、後半はVシネマっぽい展開。
陣内孝則の極道モノはこれが最後かな。陣内版「冬の華」っぽさもあり、病院帰りの女を守り抜くプロットは「その男凶暴につき」にも通じます。クライマックスの銃撃戦は、陰影のつけ方が美しくて素敵。