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牝猫たちの夜のKのレビュー・感想・評価

牝猫たちの夜(1972年製作の映画)
5.0
「愛し合うふたりのセックスにカメラが立ち会うのは不可能だ」あるいは「それに対応するカメラポジションがそもそも存在しない」っていうのは「見つめ合う視線をカメラは捉えることができない」問題と同義だと思われるが、田中登がこの問題にぶつかっていったのが本作のように思われてならない。最初から最後までとにかく映画に泣かせられる。すべてが先行しきった画面、最後のさいごに新宿のシャッターがいっせいに開くのに何の意味もないけれど、とにかくそれに泣かせられる。夜が明けることを撮った映画としてはニコラス・レイの『危険な場所で』と共鳴する。
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