ジャイロ

ウィンダミア夫人の扇のジャイロのレビュー・感想・評価

ウィンダミア夫人の扇(1925年製作の映画)
4.0
DVDを再生すると淀川さんの解説から始まる

淀川長治さんの世界クラシック名画100撰集(47)

淀川さんの解説は、たまにネタバレしちゃうから油断も隙もあったもんじゃない。

きっと、キーアイテムに違いないウィンダミア夫人の扇。ストーリーにどう絡んでくるのか、本当はもっと楽しみたかったのに。淀川さん、全部言っちゃうんだもんなぁ観る前に。でもまあ見所は教えてもらったのでそれを楽しみたいと思います。


ウィンダミア夫人の扇


オスカー・ワイルドの四大喜劇のひとつ。監督はエルンスト・ルビッチ。私的に初めてのルビッチさんです。

セリフをみなまで訳さない方式か。なるほど。

白黒なのに夫人の派手さが伝わってくる。なるほどなるほど。

紳士のベルの押し方講座とか。う~ん面白いね。

プレゼントの数だけキスをしても、愛は疑われてしまうのです。設定の妙。まさに喜劇。

先にネタをバラしたことを効果的に使う競馬場のシーンが楽しい。これはオスカー・ワイルドマジックですね。ほとんどセリフを訳してないのにも関わらず、フフフと笑みがこぼれてしまうのはルビッチさんの仕事ですね。

観ていてくとわかるその面白さ。セリフを極力訳さないことでより際立つ恋の駆け引き。あえて見せないっていうのが素晴らしい。こういうの大好きです。

後半になればなるほど面白いこのサイレント、なんだかすごく洗練されていますね。お洒落というかなんというか、一言で言うと「粋」。楽しい仕掛けがいっぱい仕込んであります。ルビッチさん、楽しませ方のツボを分かってらっしゃる。

社交界ってのは魔物の巣窟か?

好奇の目がそりゃあものすごい。

3人のお姉様方がヌッと出てくる所とか、もうそれだけで楽しい。

オホホホホ

サイレントだからもちろん聞こえてないしセリフも訳されてないのにそんな笑い声が聞こえてくる気がした。

そして、群がってる群がってる(笑)

楽しい。

特に、扇のクライマックスシーン

ダーリントン卿のあの顔っ!!!!

ここ最近で一番笑ったwww

あの表情が強烈に訴えかけてくるカオス!!

まさに傑作www

淀川さんのネタバレが無ければ、あと3倍は楽しめた気がするこの喜劇、観ている人を楽しくさせるルビッチさんの魔法がかけてあるから、それでも充分楽しめました。

ビリー・ワイルダーが師と仰ぐルビッチさん、その凄さを初めて知りました。ビリー・ワイルダー作品とともに、もっともっと観てみたい。そんな気にさせてくれる作品でした。