映画好きの柴犬

コインロッカーの女の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

コインロッカーの女(2015年製作の映画)
3.9
母の残したものは愛か呪縛か

 コインロッカーに捨てられ、闇金業者の”母”(キム・ヘス)に拾われて育ったイリョン(キム・ゴウン)が、前向きに生きる債権者の息子(パク・ボゴム)との出会いによって組織を崩壊させていく、韓流クライムサスペンス。

 犯罪組織の擬似家族もの。血も涙もない”母”の率いる犯罪組織であっても、そこには微かな絆がある。悲しみを湛えたキム・ゴウンと孤独を強さに変えたキム・ヘスの眼力対決、バイオレンスな前半と哀愁の後半の対比と、その転換のアクセントとなるパク・ボゴムの存在感。ストーリー自体はさほど意外性はないが、見事なバランスで構築されていて完成度は高い。