じゅんP

昼も夜ものじゅんPのレビュー・感想・評価

昼も夜も(2014年製作の映画)
3.8
前半に出てくる、背骨が曲がった犬の話。
後半に出てくる、コインランドリーに居合わせた女たちによる死をめぐる話。
これらの話にぐいっとピンチアウトして迫るような、それでいて話をぐいっとピンチインして俯瞰するような、両方の感覚を備えてた。

主人公が父から継いだ自動車ディーラーの前で、ある日、男とケンカした女が車を降りる。めちゃくちゃな言動を取るその女はなぜかそこに居着いて、というよりは、自由奔放に居たり居なかったりするようになって…という一見「風変わりな女と彼女に振り回される男(ども)」って構図に見えなくもないんですが、この映画もっと根本的なところがどこかおかしくて。

職場や家庭が映されてもなんだか生活感が薄い。リアリティーがないというよりは、あえてそう見せてるように見える。そもそも会話にしたって、会話が成立してるシーンとただ言葉を発し合ってるだけのシーンが明確に混在してる。何なんだろって観てると徐々に背景が見えてきて、それ以上に不和や齟齬めいたものが重ねられていく。

不和とか齟齬とかに見えるものがそこら中に溢れ漂う海の中には、絶えずそれとは逆の…



絶対的な情報としての文字。文字の奥に広がる世界は、僕には見えたり見えなかったりする。確かなものも不確かなものも、やっぱり見えたり見えなかったりするんだ。
じゅんP

じゅんP