xo

ヨーヨーのxoのレビュー・感想・評価

ヨーヨー(1965年製作の映画)
2.5
軽快なタッチ、コメディ調の娯楽作品でありながら、けっしてハートウォーミングではない。作品背景には過酷な社会状況が感じられるし、芸事をとりまく外部環境の変化、新たな表現形式との対峙、家族関係での葛藤により孤独感を抱える主人公の様子からは独特の詩情が感じられる。「市民ケーン」とも重なるところがある。

作劇の焦点は物語の動向にあり、ややダイジェスト的な速度で展開。話を追っているだけな感じで、味わい深さはあまり感じられない。一個人の感情を掘り下げるものではなく、艱難辛苦みたいなものは特に描かれない。そこがやや食い足りなかった。

手紙を読むところやら、タバコの受け渡しをするとところやら、長回しで描かれるスラップスティックコメディのパートには否が応でも見いらされる。
靴を脱がせてもらうだけのところを艶かしく、エロティックに撮っているカットが好みだった。工場の煙突からのびる煙を逆回しすることで不況を表現しているところなんか、気が利いていると思った。
xo

xo