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大恋愛のinuatsuのネタバレレビュー・内容・結末

大恋愛(1969年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

男は何歳になっても恋をしたい生き物なのかもしれない。この物語の主人公も、25歳で愛する女性と結婚し、相手の家業を継いで申し分ない結婚生活を送る。

しかし、安定に浸りきってしまった生活の中で、何か刺激が欲しくなってしまう。そんなところにうら若い女性が自分の身近に現れたら、ついついよろしくない妄想を繰り広げてしまうのが男の性だ。

そんな時に男が巡らせる妄想は、大抵クスッと笑ってしまうようなしょうもない内容である。そんなこと現実には起こりえないと端から見れば思ってしまうようなことでも、男はもしかしたら現実になるのではないかと淡い希望を抱く。

そうして妄想に妄想に塗り固めるうちに、大して話したこともないのに若い娘に恋心を抱く。掴もうと思えばいつでも手に届くところにある現実の生活よりも、手が届くかはわからないが遠く視界に入ってくる妄想の方が、魅力的に見えて追ってみたくなってしまうのだ。

しかし、結局淡い恋心は自分の妄想が生み出した幻影でしかない。掴もうとしてもふっと消えてしまう蜃気楼のような恋の対象は、追いかけても意味のないものだと男が気付くのには時間がかかる。そういう経験を通じて、男は愛の何たるかを知っていくのだろう。
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