りりー

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命のりりーのレビュー・感想・評価

3.8
まさにナタリー・ポートマンの映画!なぜ彼女がアカデミー賞主演女優賞を獲らなかったのか、さっぱりわからない。そんなナタリーの異様な演技に対して、淡々と受けて立つビリー・クラダップも良かった。

亡霊のようにさまようジャッキー、がらんとしたホワイトハウス、不穏な劇伴、繰り返される悪夢。そんな強烈な死の匂いを掻き分けた先に姿を表す、失われてしまった眩い一時への渇望。あったはずの輝かしい未来は閉ざされた。それでも幸福な日々はたしかにあったし、違う形をした未来が彼女の前にはある。観終えてこんなエモーショナルな気持ちになるとは思わなかった。

ジャッキーがこだわり続けた葬列のシーンが、あまりに美しくて涙が出た(葬列なのに!)。ジャッキーは知っていたのだ。細部が忘れ去られようと、圧倒的な美しさは人々の記憶に残るのだと。
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