スパイク・リーという人は昔から本当にいいテンポで映画を紡いでいく。ギリシャの喜劇を現代に置き換えた物語だと冒頭で説明が入るが、ギリシャ喜劇などに着いての知識はないので、本当かどうかはわからない。
でも、そうかもなというくらいにシンプルな物語。いうことを聞かない男を懲らしめるために女たちが結束して、セックスを拒否するという話。だから、物語としては喜劇なんだけれど、それを黒人のギャングたちが殺し合いを続けているシカゴに舞台を移しているから、喜劇のベースが残酷な悲劇になってしまう。
この映画の感想として、悲劇を茶化してしまっているのでは無いか、という意見も散見されるのだが、じゃあ、シリアスに描けば、黒人ギャングたちが殺し合う現状は解決されるのか。されないことくらい、もうわかっているじゃないか。
ということで、冷静な目で見れば、まるで喜劇にしか見えない悲劇的なシカゴの現状を、スパイク・リーは得意なミュージカルテイストと、馬鹿馬鹿しい喜劇タッチで描き切った。
僕はこの映画が好きだし、スパイク・リーという監督が好きだ。
