ウシュアイア

シスタースマイル ドミニクの歌のウシュアイアのレビュー・感想・評価

3.1
1960年代に世界中で大ヒットした名曲「ドミニク」を生み出した実在のシスターの波乱に満ちた人生を描いた作品。

[あらすじ]
自由を求めるジャニーヌ・デッケルス(セシル・ドゥ・フランス)は、抑圧的な両親に反発して修道院に入る。厳しい規律になじめず反発しては問題を起こしてばかりいたが、やがて聖ドミニコをたたえる歌「ドミニク」を作る。その美しい歌声が評判を呼び、彼女は「謎の歌うシスター」としてレコードデビューを果たし、一躍大スターとなるが……。(Yahoo!映画 より)


全く予備知識なしで観に行ったので,予告編の雰囲気や『ドミニク』の明るい曲調からハッピーエンドになるかと思いきや実にバットエンド。ちょっと辛辣な言い方をすると,小説よりも奇なる事実ではなく,一世を風靡した一発屋シンガーのベタな悲劇,ともいえる。

破天荒な歌うシスターというと,サウンドオブミュージックのマリアさんとイメージがダブるのだが,マリアさんは自分にとても正直なのに対し,ジャニーヌはすべてに対して反抗的。陽気な「ドミニク」の歌をつくって,周囲が和み,彼女自身も変わっていくのかと思いきや,三つ子の魂百までなのか,彼女のエゴイスティックな面は増長していく。

終始,彼女と折り合いの悪い母親が悪役として出てきて,ジャニーヌをかわいそうなヒロインとして描こうとしているのだが,どうしても自業自得にしか思えない。

教会の圧力によって干された彼女のために,ストリップ劇場やゲイバーでのどさ回り営業をとってきた最後の砦ともいえるマネージャーを切ったのは違うでしょう。

母親への反抗心や他人の愛情を素直に受け入れられず,といった面に共感できる人は,この映画を高く評価できるのではないか。

親への反抗心からすべてを遠ざけて,アラスカの奥地へ入って行って非業の最期を遂げる青年を描いた『イントゥザワイルド』に似ているかもしれない。
(2010年8月1日@シネスイッチ銀座)
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