このレビューはネタバレを含みます
面白かった。実際石油をどう売り、どう使ったのか、そこまで描いてくれたらよかったなぁと思うが、紙幅の問題上無理からぬことであったのだろう。
戦前の石炭主力の時代に、石油に目を付けるという点が際立っていた。安い石炭がいくらでも出る、日本においてそういう資源は少ない。
だからこそなぜ石油がそこまで必要とされたのか、が気になってしまった。そりゃ今でこそプラスチックやらにも使われるとか、燃焼効率の良さなんかはあるだろうけど、あの1945年直後はマジで石油が存在しなかったわけで、そもそも石油に対応した設備投資をする、という選択肢がなかったはずで。
どういう経緯で石油の需要を取り込んでいったんだろう、と不思議に思ったりはした。とはいえ船に石炭を積むよりはよほど液化燃料のほうが高効率だし、とか、その辺はあるにせよ。
ゲリラで海の上で油を売るという、海の上に線はない、も非常に良いパンチラインで、こういうスピリットがいわゆるベンチャーなんだよな、というところである。たぶん空飛ぶ車とか、IT企業とか、みんなそういう思いでやってるんだろうなと。
既得権益の打破というヒロイックな話を、実話をもとに持ってくるというのはすごい話だ。出光。昭和シェルとはいろいろあったらしいけど・・・。お家騒動みたいな・・・。
一企業がイランという一国を、国として尊重する、ということに通じたのもすごいことだよな。イギリスのものではない、対等に付き合うのだ、という。一歩間違えたら戦争だよな。。現在のウクライナ戦争も、ウクライナに親ロシアを送り込んで彼らを奪還するみたいな名目、というマッチポンプをしている認識だし、火だねというのは本当に些細な話で起きうるのだと思うと。胆力と手放しでほめていいことではないのかもしれないが、結果論としてはメジャーが次々外資に吸収されていく中であって、必要なことだったのだとは思う。