片腕ファルコン

ヤクザと憲法の片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

ヤクザと憲法(2015年製作の映画)
3.9
2016年早くもベスト級に面白いドキュメンタリーに出会った!!

ヤクザにスポットを当てた数少ないドキュメンタリー。
長く生活していると歌舞伎町の(一方的な)喧嘩を目撃したり、友達がヤクザの息子だったり、近所にそれっぽい人が住んでいたり、何となくかする程度に触れ合いますよねぇ。。

でも一番のイメージは映画とかドラマでの横暴っぷりじゃないでしょうか?
果たして本当に彼らはあんな感じなんでしょうか?

東海テレビがヤクザの事務所に長期取材に成功。
大阪の暴力団・清勇会が応じてくれたのだ。
玄関あけると大きな木彫りの何かがあって、奥へ入ると社長机みたいなのが奥にあって手前には低い長テーブルに黒いソファー。デカイ透明ガラスの灰皿。教訓らしき言葉の書道。先代達の写真。ここは映画の通りなのね。。

ただ、そこにいる人達は割と温厚そうで特に中を案内してくれる人は言葉遣いも柔らかく怪しい荷物に「それマシンガンとか入ってるんじゃないんですか?」という質問(ばか、よせ!!と思いましたが)にも笑って、映画の見すぎですよと突っ込んでくれた。この人は住み込みで掃除などもする下っ端。もう一人21歳の若者もいる。坊主にメガネ。お寺の修行僧とも思える風貌である。
他にも全日の渕正信のような人や、大杉漣のような細めの意外とヤバそうなオジギ、若頭が亀田三兄弟のパパみたいな強面でこの人だけ唯一ブチ切れるシーンがあって、コレがもう無茶苦茶に恐ろしい。本物とはこういう事だ。
会長(組長)は、もう俳優のようなイケメン、61歳とは思えない若さ。昔の写真は老けてた。。殺人事件で15年の実刑判決を受けた川口和秀である。

取材で分かってきた事は…ある意味では彼らは弱者で人権という物を失い、ヤクザってだけで銀行が凍結されて、子供は幼稚園に入れてもらえず、事務所に荷物や出前すらも届ける事ができない所まで追い込まれていた。。

同じくして山口組の専属弁護士、山之内幸夫もちょっとした罪で事が大きくされ訴えられていた。

ヤクザ、あるいはヤクザに関わると社会から迫害されている。

伝説の映画『ポチの告白』でも「日本警察こそが最大の暴力団だ」という名セリフがありますが、まさに悪っぷりが逆転しているそんなシーンもこのドキュメンタリーに収められています。

別にヤクザを擁護する訳でもありませんが、彼らは彼らで大変なんだなぁと。

とは言いつつ、一方では山口組の分裂騒動という物騒な抗争が始まったりもしていてとりあえずオウム真理教のドキュメンタリー『A』同様、絶対見るべき映画だと思えました!!

超必見!! あれ…このレビューはそちらの方々に怒られませんよね?