いろんな種子てんこ盛りで散りばめられてて頭がいっぱいになる。
けれどひとまず幸福についてにしぼる。
「他人の不幸を見ずにいれることが現代唯一の幸福だ」
「他人の不幸を気にせず自分の幸福のみ追い…
長台詞が映画の邪魔をしない映画。
汐見洋演ずる父が『山の音』における上原謙のように徹底したゴミカス息子(佐伯秀男)を叱責する。淡々と淀みない豊かな語彙の説教はグーの音も出ないほど正論(すごく良いこ…
本作でも、人物の会話で単調な切り返しを繰り返さない強い意志が見える。人が動く、ロングに移る、あるいは、目線が交わらないショットをつなぐ。また、人物のクロースアップには繊細な光や影が投じられている。こ…
>>続きを読む『山の音』に構造が似ている。父が道徳心から嫁を庇う。人を信じきっている無抵抗な者には負ける。かつて娘のように可愛がっていた息子の元・婚約者でありまだ密会している愛人・弥生(江戸川蘭子)を説得する方法…
>>続きを読む「生きてみることだ、その間に判る」
「お前たちの不幸は、色んなことを無闇に知ったことから来ているんだな、知っているというだけだ」
裕福な人達それぞれの闇と高等な苦悩。
終始五郎が救いようのないくら…
「僕の結婚は失敗でした」
『なぜ五郎、そんなことを軽々しく言う。断っておくよ。お前は漢だ。自分の言ったことには、どんなことにも責任を持たなければならん』
「その責任なら、充分感じているんです。結…
このレビューはネタバレを含みます
1937年成瀬巳喜男メロドラマ。大佛次郎の序文あり。愛嬌ゼロのだめんず。出来た父を持ちながらこのクズっぷり。父・汐見洋が社会の良心をうまく演ずるので興味深く観れるが…西洋から輸入された個人主義や近代…
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