MasaichiYaguchi

高台家の人々のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

高台家の人々(2016年製作の映画)
3.4
森本梢子さんの漫画原作を実写映画化した本作は、口下手で不器用なヒロイン・平野木絵をやや天然な綾瀬はるかさんが“はまり役”で演じていて、最初から最後まで楽しませてくれる。
この平野木絵が思い浮かべる妄想がとにかくぶっ飛んでいて、映画では綾瀬はるかさんをはじめ、斎藤工さん、塚地武雅さんが様々なコスプレをして、時にはアニメーションともコラボしてこの妄想を繰り広げるので、可笑しくて思わず吹き出してしまう。
本作の“売り”は、この木絵の楽しい妄想と、高台光正をはじめとした高台家の人々が持つ人の心が読めるテレパスだと思うが、妄想の持つ明部とテレパスが持つ暗部のコントラストが、現実離れしたラブコメディのアクセントになっている。
人間社会は“本音と建前”を上手く使い分けて成り立っている。
本音ばかりだと人と人との関係がギスギスするし、建前ばかりだと、何処に真意があるのか分からない。
言程左様に人の意思の疎通を図るのは難しい。
本作の設定は漫画的だけど、生まれも育ちも、家柄も違う男女が様々な困難や葛藤に直面するドラマは我々の日常にはよくあることだと思う。
結婚は、程度の差はあれ、全く違う家同士が結び付くことでもあるので、そこには恋愛時代とは違う、様々なハードルが二人に立ちはだかる。
本作は、そのようなことを漫画的にデフォルメして表現しているが、幾つもの“ハードル”と向き合い、時に挫折して落ち込んだりしながらも、自分の持ち味でそれを乗り越えようとするヒロインのコミカルで健気な姿に、笑いと共に思わず心がホッコリしてしまう。