からかす

ナチス第三の男のからかすのレビュー・感想・評価

ナチス第三の男(2017年製作の映画)
3.0
原題「The Man with the Iron Heart」の通り
鉄の心臓を持つ男を描かれてはいるものの
何故鉄の心臓を持つに至ったかが描き込み不足と感じる。
というよりも期待していた「Why?」よりも
「How?」という部分に比重があるというか。

全体としては大きく二部構成であり
ある事件を起点に視点が動くような形になっているが
つまるところ悪名高きラインハルト・ハイドリヒを
きちんと描こうという覚悟に乏しかったように思う。
彼の歴史に残る冷酷非道な行いを鑑みれば
当然悪辣にしか描くことはできないんだけれども
その悪辣さを事実として並べるだけなら歴史資料館でも見れるので
何故その悪辣さの境地に至ったかを描いて欲しかった。

逆に言えば二部構成の第二部は描きやすい題材で
ここは非常に無難な作り。
ただこちらも人が多い分描きこみ不足で
第一部の尺を回せれば…という感じだけど
それだと過去作の完全な焼き直しなのでそれも結局微妙。
詰まる所前半部の甘さが全体的な緩さに繋がっている。
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