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アトリエの春、昼下がりの裸婦のgeneralisticのレビュー・感想・評価

5.0
彫刻家ジュング(パク・ヨンウ)とその妻チョンスク(キム・ソヒョン)、モデルになって欲しいとチョンスクに頼まれるミンギョン(イ・ユヨン)を中心に描かれるストーリー。舞台は浦項だが、時代設定が1960年代末なので、浦項に製鉄所などが出来て工業都市になる以前ということになる。

難病に苛まれ、制作意欲も何もかもを失うジュングに、何とか元気になってもらいたいと思う一心で、チョンスクはモデル女性を探す。そして、ミンギョンが理想の女性と見初め、モデルの意義と共に、大金を支払うことで説得する。

ミンギョンの体の線の美しさは、映画を観ている人々にとっても息をのむものに違いない。しかし、ジュングの頭には制作への意欲があり、その表現方法があった。突き動かされるように制作に没頭していく姿にミンジョンは惹かれていく。

一方、二人の子を持つミンギョンは、夫がベトナム戦争に行って戦死し、夫から「家族の」面倒を頼む」と言い遺された足の不自由な男性が家に居ついて自暴自棄な生活を送る。そして、ジュングの制作を手伝う中で新たな人生の意味を知っていく。

チョンスクの辛さ、複雑な感情を演じるキム・ソヒョンは、落ち着いた雰囲気の中に感情を抑えている様子を上手く出している。また、ミンギョンを演じるイ・ユヨンは、背徳の王宮での挑戦的で妖艶な女性像とは180度異なり、貧しく、惨めな生活を送りつつも、健気な美しさを十二分に発揮している。

ミラノ国際映画祭、マドリード国際映画祭で最優秀主演女優賞を含む複数の受賞をしている作品であり、中年以上の世代には是非観ていただきたい。
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