「先に泣くのは男で、女はいつだって堪えてるのよ」
こんなセリフが妙に突き刺さった。
45年も連れ添ったって、お互いが考えていることや、本心なんてもんはわかりっこなくて、分かったつもりでいても、ボタンを掛け違えては生まれていく小さな誤解。知らないままでいた方が良かったこと、隠された真実、気付いてしまった嘘。もう「くたびれた」のはきっとお互い様。それでも明日になれば、またいつも通りふたりはいつものふたりになる。こうしてきっと毎日を重ねていって、月日が流れて45年間連れ添ってきたのだろう。楽しい時間も、ふたりの間にさざ波のたつような時間でさえも、ふたりは共に過ごし生きてきたのだろう。夫婦ってものには、きっといつまでたっても「完成形」なんてのが存在しないんでしょうね。なんて、夫婦生活4年目のひよっこが偉そうに言ってみましたが。すごく静かに、じわじわくる映画だった。彼女のラストで見せた表情が、しばらくは頭から離れなさそう。彼女は何を思っていたのだろうか…。
