第65回国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をダブル受賞した話題の映画。
名優シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ が演じる熟年夫婦の関係を描いたヒューマンドラマ。
ジェフは美しいケイトと出会いきっと素晴らしい恋愛の末に結ばれ、当たり前の夫婦が皆そうである様に、共に喜んだり、喧嘩したり、思いやり合いながら1日1日を積み重ねて、そして４５周年を迎える。
ケイトは素晴らしい自然に恵まれたイギリスの田舎町で、元教師らしく 規則正しい生活を送りながら、夫ジェフと幸せな人生を送っていた。
そんな二人が育んできた４５年に一通の手紙が届く事でさざなみがたつ。
小さなさざなみは次第にケイトの中で大きな波となって、やがて45年間の夫婦の信頼関係を飲み込んでしまう。
ジェフとケイトが共に歳を重ね鏡の中にかつて美しかった自分の姿が日々失われて行く中で、ジェフのかつての恋人が若く美しいままで発見される。
ジェフにとっては 過去と現在は同じ重みで存在していて、突然さざなみは起こったけれど、ケイトへの愛はきっと変わらないと思う。
でも、45年間自分達に存在しなかった、子供をお腹に宿して、愛おしそうにお腹に手を添えるかつての恋人のみずみずしい姿の画像を観てしまったケイトの心からは、幸せだった45年間が急激に壊れていく。
日を追って大きくなっていく心の中のさざなみが鏡を覗くケイトの表情に映し出される。
あの「愛の嵐」のセンセーショナルな女優が半世紀にもわたる女優人生で初めてアカデミー賞にノミネートされた、正に燻し銀の様な 素晴らしい演技に、心が詰まる。
