フォルーグ・ファッロフザードはイラン現代文学における最も優れた女性詩人の一人とみなされている。
今作は彼女が監督を務めたイランのニューウェイブ映画(フランスのヌーヴェル・ヴァーグのような位置付)の先駆的なドキュメンタリー。
全編を通して、抑制されたカメラワークでハンセン病患者の日常生活をゆっくりと映し出す。その力強い映像にファッロフザード監督自作による詩の朗読がかぶさるが、朗読はつとめて抑揚を抑えた、淡々とした調子であり、詩的映像美とドキュメンタリーを融合させて「詩的ドキュメンタリー」とも呼ぶべき新しいジャンルを開拓した点にある。
