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シティ・オブ・ゴッドのcamusonのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.6
ブラジルのスラム街(神の街)でのギャング抗争の話。

私が映画に求める大きな一要素として、
「リアルなアナザーワールドの体感」があります。

この映画はそれを満足させてくれるものです。


主人公は、スラム街出身でカメラマンになることを夢みる黒人の青年。
主人公も巻き込まれるスラム街でのギャング同士の抗争のさなかから、
一旦時が巻き戻され、
主人公の幼なじみとも言えるスラム街のストリートチルドレン達が、
狭い世界の中で、いかにのたれ死に、
いかにのし上がっていくかが描かれていきます。

ある人物をフィーチャーしたエピソードから始まり、
その人物の物語が終わりを迎えると、また別の人物に主役を入替えて、
ということを繰り返して、人物毎の物語を紡ぎながら、
スラム街の全体像を見せていきます。
テンポが良く飽きることがなく、群像劇として良くできています。


映像技術的には、フォーカスの範囲を厳しく狭めて、かつ、激しく動かして、
フォーカスがぴったり合った瞬間の映像の精細さを際立たせています。
効果はあると思うのですが、ちょっと、やり過ぎの感がなくもありません。


役者が皆、自然な演技をしていますが、
その多くがスラム街出身の素人だそうです。
役者の演技が素晴らしいからこそ、
なんの他意もなく、鶏の演技を賞賛することができます。
鶏はこの映画の肝です。
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