多タロ

パディントン 2の多タロのレビュー・感想・評価

パディントン 2(2017年製作の映画)
4.3
無印がかなりの良作だったため今作はどうなることかと心配していたものの、完全に杞憂で大満足。
前作で紆余曲折はあったものの、ブラウン一家の一員として迎えられた子熊のパディントン。今回は老クマホームに入っているおばさんへ誕生日プレゼントを送ろうと古物店で見かけた仕掛け絵本を手に入れるべく金策に奔走するのだが、なぜだか執拗にこれを狙う謎の人物が現れて、挙句に窃盗の濡れ衣を着せられてしまうのだからさぁ大変というお話。


※以下ネタバレ
数多の仕掛けや伏線でもって観ている側を驚かせてくれる展開は健在で、中でも中盤パディントンが無実の罪で刑務所送りにされてしまってからの展開は秀逸の一言。
見た目のイカつい囚人たちをも震え上がらせるガチムチコックを相手に持ち前の無邪気さというか天然というかドジっ子さというかで彼を懐柔し、一緒に大好きなマーマレードサンドを作るくだりなど微笑ましく、それでいてゲラゲラと大笑いさせられる。さらには話はそれで終わらず、料理の力(+ピンクの刑務服)によって殺伐としたムショはなんということでしょう、明るく..というよりはとってもファンシーな空間へと大変身。遂には皆でノリノリのダンスを踊り出すのだからもう良い意味で笑うしかなく、展開は最高の一言。
物語後半はヒュー・グラント演じるメインの悪役である落ち目のイケメン役者・フェニックスとの戦いが繰り広げられるのだが、この男、自室で大量の人形相手に一人で会話を繰り広げるという一歩間違えればホラー映画のサイコ野郎にも関わらず、制作側のキャラにおける舵取りが上手いためにいい感じにコミカルな三枚目として描かれており非常に魅力的。彼は終盤では(何故だか前作同様の)親子二代に渡る因縁を理由に仕掛け絵本を巡ってパディントンというかブラウン一家と戦いを繰り広げるのだが、ここでも前半のヨガや水泳やらの伏線回収と共に要所要所にクスリとさせられるコメディが満載で本当に見ていて飽きのこない構成が嬉しい。
おまけに本編終了後は役者設定を活かしてインド映画よろしくエンディングで刑務所の面々とド派手なダンスを踊ってくれるのだから、最後の最後まで観客を楽しませようという心意気がなんともありがたい。
次回作は劇場に足を運ぼう。ブス専の警備員健在だといいなぁ。
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