aruka0263

エル・ノルテ/約束の地のaruka0263のレビュー・感想・評価

エル・ノルテ/約束の地(1983年製作の映画)
-
『エル・ノルテ 約束の地』を観る。散りばめられたモチーフと圧倒的なその構図と美術に息を呑む。北に進むにつれて映画はアメリカ的になってゆく。アメリカに行くにはその代償を支払わなくてはならない。終わりの見えない真っ暗なトンネルを通って北の地へ。アメリカ的価値観を前にして彼らとは異なるアイデンティティに葛藤しながらも徐々にアメリカ的になってゆくふたり。でもそれはどこか哀しげであり、アメリカンドリームへの幻想でもある。地面を離れて空を飛ぶことは道からのつながりから離れ、離散すること。彼はシカゴ行きの仕事を断って妹との離散から免れる。そのせいで彼はその道たちが作る円環の中に閉じ込められる。きっとその中で自由になれないまま彼はもがき続けるのだろう。グロテスク。それがまさにアメリカへと渡った移民たちの肖像である。
aruka0263

aruka0263