カトキチ

ファイアー・ドラゴンのカトキチのレビュー・感想・評価

ファイアー・ドラゴン(1986年製作の映画)
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ストーリーはシンプルだが、特筆に値するのはブランドン自身のキャラクターの徹底した説明の無さである。

昼は解体業、夜は水商売のウエイターをやっていて、とてもケンカをするようなキャラではない。もっと言えばカンフーなんて出来そうにも見えないのだが、腕に覚えありみたいなキャラクターを簡単に叩きのめしてしまうし、様々な銃も簡単に扱う全身コマンドー男として登場する。ここまで来れば、前に軍隊にいただとか、特殊部隊に所属してたなんてことが出て来てもいいと思うが、なぜ彼がここまで強いのか、まったく説明が無い。

ジャッキー映画でも、道場の息子で幼い頃にカンフーを習ってたり、刑事だったりして、格闘技に精通しているという説明があったりする。『レッド・ブロンクス』でも「カンフーはまだやってるのか?」なんていうセリフがあるくらいだ。ブルース・リーもしかりである。

ところが『ファイアー・ドラゴン』では「ブルース・リーの息子なんだから分かってるでしょ」と言わんばかりに、まったく説明がない状態でカンフーさせてしまう。しかもかなり強く、本人も自信満々に敵の相手をする。ブルース・リーの息子だからという、ある種のスター映画だから許される演出だが、あまりに強いので何をやってたのか逆に気になってしまった。リーファンにとっては感涙なヤン・スエとの格闘シーンもあるが、あのヤン・スエをブランドンは数発でぶっ倒してしまうほどの強さなのだ。

しかし、この作品の最大の欠点はそのいちばん観たいであろうカンフーアクションがほぼないことであった……


ちなみに監督のロニー・ユーはその後『フレディVSジェイソン』という大傑作を撮ることになるが、それはまた別の話。
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