映画を観て泣いた経験はないが、この映画では、終盤、少し涙腺を刺激された（誓って泣いてはいないが）。
中年パパラッチと新人女性編集者に焦点を絞り、スクープを連発する写真週刊誌の裏側を描いた作品だが、前半はもちろん、芸能人や政治家の決定的瞬間を狙う福山雅治扮するパパラッチといきなり彼とコンビを組むことになった二階堂ふみ演じる新人編集者の、まさに「スクープ」を狙う奮闘が描かれる。
原作は原田眞人監督のテレフィーチャー『盗写1/250秒』。原作では原田芳雄と宇崎竜童が演じたキャラクターを、本作ではミックスして福山雅治がひとりで演じているが、これがことのほか素晴らしい。借金まみれですぐに下ネタを繰り出すパパラッチ役を福山雅治が見事に演じ切っており、ワイルド&スケベーなニュー福山が見られる。
対する二階堂ふみ演じる新人編集者役も絶妙な演技だ。はじめはこの仕事に嫌悪感を示しながらも、少しずつ引き込まれていく(それは福山に対してもだが)、その「成長物語」も興味を引く。
さて、問題の終盤だが、決定的な事件があり、パパラッチと新人編集者のバディものは、突然別な物語へと昇華していく。その転換は鮮やかだ(ネタバレ禁止なのでここまで)。
カメラマンを主人公とした作品だけに、映像にもなかなかキレがある。とくに冒頭と最後に登場するドローンによる俯瞰撮影(地上の人物から最後は東京の夜景のロングショットになる)は実に印象的だ。またDJでトラックメイカーでもある川辺ヒロシの劇中音楽もかなり効果的だ。
実は、自分も写真週刊誌に携わったことがあるが、編集部や仕事の中身などリアリティも抜群、自らその現場に何回も赴いたという大根仁監督のこだわりを評価したい。『モテキ』、『恋の渦』、『バクマン。』、そして『SCOOP!』といま目が離せない映画監督のひとり。傑作です。
