えいがのおと

SCOOP!のえいがのおとのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
4.0
邦画では珍しい、ハラハラドキドキの職業映画。

流石に音楽が好きな監督なだけあって、全編に渡って緩急のある最高な劇伴に、終始興奮。
そんな音楽も初めてかかる、最初の長回しが最高にカッコいい。展開の関係もあるが、下手に意味深なシーンで気取っているよりも、直ぐに世界観に入り込ませるこうした演出は最高だ。
ある意味全てにおいて、想定内のストーリー展開ではあるが、見せ方ゆえに、最後まで見せる。
ただ、もしも序盤でそれに乗れない人がいるのであれば、30分完結のストーリーが四つ入ったような構成は、飽きてしまう可能性がないとは言えない。
ただ、個人的にはそこまでしっかり、キャラクターの関係性を見せていたために、後半の感動があったように思うから、とても楽しめた。
さて、ストーリーはそれこそ、想定内に収まるのだが、その想定内の展開が、映像と、心拍音のような劇伴により、ハラハラドキドキする演出となっていた。
カーチェイスのシーンなどは、野火のセリフ通りハリウッド映画のようで、クオリティに差こそあれ、邦画でこうした感覚になれるのは稀で、本作ならではの良さを感じた。
俳優陣の演技もまた素晴らしく、リリーフランキーの怪演は言うまでもないが、「バクマン。」でも好評だった、劇団系役者が演じる編集者の会議シーンは、たまらなかった。
個人的には、「私たちのハァハァ」の松井大吾監督がいて驚いた。
そういえば、「野火」の監督の塚本晋也監督も出ていたけど、割とちょい役だったのが残念。掘り下げてもよかったのに。
ちょいエロの渋いかっこよさを撮るのは、本当に上手い監督だなぁと改めて感じた。
「君の名は」に隠れちゃってて可哀想な感じ。