なっこ

SCOOP!のなっこのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
2.2
この軽さは、どこからやってくるのだろう。

浮遊感とも言えるかもしれない。

お洒落で綺麗な映像に申し分ない役者の演技、時代性を切り取ったそれなりのストーリー展開…しかし、後に残るのは、

“つわものどもが夢の跡”的な寂寥感。

これが“カメラしかなかった男”の生き様なのだろうか。
そしてもしも、これがある種の男の夢や浪漫であるとするならば、なんて出口のない、終わりのない悪夢のような現実をヒーローたちは生きていることだろう。

その切実さ、強迫的とすら言える“男らしさ”への固執、抑えきれない破滅への衝動…

家庭や恋人、安定的な職場から切り離されてしまえば、落ち着く先を見つけられないまま漂うしかないのだろうか。
とうに奪われた仕事への情熱、見出すべき価値、それが分からなくなっていく中年の孤独

頼るのは若さと情熱を体現したヒロインの存在。彼女をリクルートすることで再生を試みる。

ただラストに用意された“事件”は、自らの存在理由をかけて挑むほどのことだったのだろうか、この帰着こそが、
現実の男たちの哀しさの集合体であるとするば、

なんと生き辛く哀しい現実なのだろうか。
なっこ

なっこ