笹井ヨシキ

ジョン・ウィック:チャプター2の笹井ヨシキのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

前作が好きだったので鑑賞して参りました。

やっぱり面白かった!前作から更に正統派進化を遂げたアクションと、スケールアップした殺し屋世界の楽しさを存分に堪能できる作品でした!

このシリーズの良いところってかなりトンデモないアクションをやっているにもかかわらず、全くインチキ臭くなく見応えと映画内のリアリティを重視して作られているところだと思います。

例えば銃の弾数は普通のアクションなら割と不問にされるところですが、今作はその制約をきちんと守ることで、マガジンチェンジの華麗さとリズムが独特のスタイリッシュさに繋がっていますよね。

敵から銃を奪い弾数をチェックするという一連の動作も、ジョンの冷静さとプロフェッショナルな部分を再確認できるキャラクター描写の重要な一部だったと思います。

「ジョンが必ずヘッドショットをする」といったルールも巧くて、逆に頭以外の部分を撃たれた敵はそう簡単には死んでいないので、「敵が弱いだけなんじゃないか?」という批判はそれほど生まれない作りになっているところも良かったです。

普通の映画だったら訳分んないことになるであろう暗闇での戦闘シーンも、非常に艶っぽいナイトシーンと影をしっかり映す計算された絵作り、カットを割らず重みを重視したアクションでアートのような美しい仕上がりになっていて飽きさせません。

前作から進化した部分で言うと、ハンドガンだけでなくゴツい銃を使った「ガン・フー」も堪能できたり、車同士をガンガンぶつけ合うカーアクションやナイフアクション、またチャック・ファクトならぬジョン・ウィック・ファクトをそのまま見せつける鉛筆での殺戮などサービスシーンも旺盛で楽しめました。

殺し屋世界のトンデモ感も楽しく、フランコ・ネロの気の利いたキャスティングや、アカウント部の謎のレトロ・フューチャー感、地下街を牛耳るローレンス・フィッシュバーンの存在も一々笑いましたw

敵キャラもコミック的にカリカチュアされた濃いメンツが揃っていましたね。

巨漢の殺し屋が脳天をぶち抜かれても息があるのには笑いましたが、何といってもコモン演じるカシアンが超かっこよくて最高でしたね。

ジョンと互角に渡り合う実力者で殺し屋世界のルールを遵守し、派手にならないよう周りに気を使いながらジョンと競い合っている感じは、もはやカップルのような雰囲気になっていて笑いましたw

特にサイレンサーでの撃ち合いは「お前らホントに殺る気あんのかよw」とすら思うイチャコラぶりでしたねw

願わくばジアナの暗殺を命じたサンティーノにもカシアンの殺意が向きジョンと共闘するという展開も見てみたかったですが、ジョンに仲間が出来てしまったらそれは違うと思うので良しとしますw

あえて言うならルビー・ローズ演じる女ボディーガードのアレスは結構あっさり退場してしまってちょっと肩透かしでした。手話を使ったり股関をまさぐってきたりと異彩を放つ存在感があったのに、戦闘においてはあまり良いところが無くてちょっと残念でした。

話としては前作の「ナメてた相手が殺人マシーンでした」というお馴染みの型を踏襲していなかったためその魅力は丸々後退しており、ややカタルシス不足と感じる部分があるかもしれません。この辺りはバランスが難しく、だからといって型に乗せてもマンネリや段取り臭くなってしまうと思うので、仕方がない思います。

ただ新たに戦う理由付けとして加えられた「誓印」の設定は、自分の頭が悪いのか良く理解出来なかったですね。

あの「誓印」がどういうものなのか良くわかりませんが、「誓印」に強制力があり拒否した場合にペナルティがあるとするなら、ジョンの家を吹っ飛ばすのはサンティーノ本人ではなく殺し屋世界の上層部であるのが自然だと思います。

「誓印」がジョンとサンティーノの二者間でのみ交わされた契約ならば実力行使に出るのが当事者という展開に合点がいくんですが、コンチネンタル・ホテルのオーナーであるウィンストンが何かしらの管理を行っている描写があったため腑に落ちず、モヤモヤが残ってしまいました。

殺し屋世界の仕組みを多く語らず観客に色々妄想させるのがこのシリーズの良さなのはわかりますが、この設定に関してはジョンが再び殺し屋世界に戻る動機であり、映画の核となる部分なのでもうちょっと親切に描いても良かったような気がします。

とはいえアクションに関しては期待値以上の満足感は得られる作品でした!
チャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチはこれからもどんどん面白いアクション映画を撮ってくれる二人だと期待していますので、次回作も必ず観に行きたいと思います!
笹井ヨシキ

笹井ヨシキ