とむ

真白の恋のとむのレビュー・感想・評価

真白の恋(2015年製作の映画)
4.2
それぞれの登場人物が身近な家族の存在を大切に思いながら、穏やかな心持ちで何気ない毎日を送っている。
そんな中で軽い知的障害をもつ主人公の真白がフリーカメラマンの油井と出会うことで、狭かった世界が少しずつ豊かに広がっていく。
天真爛漫な真白が初めて抱いた淡い恋心と、素直で実直そのものの油井の相手を思いやる心。二人が育む束の間の関係がささやかだけれど温かくて、とても愛おしい気持ちになる。
派手さはなくともゆったりと丁寧に描かれる物語。人々のひたむきで誠実な思い。射水の町並みや立山連峰の情景、真白の心情を表現した主題歌の美しさ。
映画が終わった後も、真白の人生はずっとずっと続いていく。そう信じたくなるような魅力的な人間性を体現した佐藤みゆきの演技も素晴らしかった。
これからも心の中でこの映画の世界や登場人物に思いを寄せ続けていたい。それが人に対する自分自身の優しさにも繋がっていくと思うから。
とむ

とむ